JUST PHOTO iT

JUST PHOTO iT

 

制服のマネキン

みなさんはアキュートマット・スクリーンという名をご存じだろうか。

ミノルタが開発したとても明るいフォーカシング・スクリーンだ。
(フォーカシングスクリーンとは結像面に配置されたスリガラス状の
撮影像を確認する半透明板の事)
1977年「MINOLTA XD」以降、自社製品にはもちろん、
ハッセルブラッド500C/Wシリーズにも提供されたほどの
フォーカシング・スクリーンだ。

しかし、いざ「アキュートマット」検索すると9割以上は
ハッセルブラッド関連の記事がヒットする。
「ミノルタ アキュートマット」としても、名称の記述はあるものの、
これを解説する記事はほとんど見当たらないのである。

ミノルタのカメラ部門は、現在ソニーに統合されて今では
一眼レフデジタルカメラも存在しない。
そして、ハッセルブラッドもデジタルカメラのみとなり、
事実上この世からアキュートマットは完全に消滅してしまったのである。

ミノルタというと、奇抜なカメラというイメージが強く、
他社と比べると名機や銘玉といわれる製品が少ないが、
このアキュートマット・スクリーンだけは、
他のメーカーが太刀打ちすることの出来ない銘品なのである。

そこで手持ちの資料の中に、このアキュートマットの開発者の
インタビュー記事があったので、割愛して紹介したい。

カメラにとってひとつの生命線であるファインダー。
フレーミング、フォーカシングは画像を構成するには
なくてはならないものである。
ことに一眼レフのフォーカシングはレンズの焦点距離が
長くなればなるほどに細心の操作がいる。
そのためには見やすくかつ明るい方が良い。
ただし明るいだけではピントのヤマがつかみにくい。
それらの条件を満たす理想的なフォーカシングスクリーン、
それがアキュートマット・スクリーンだ。

アキュートマットのマット面には微小円錐形プリズムが250万個、
規則正しく敷き詰められている。
このため効率の良い拡散性が得られ、従来の一眼レフカメラの
ファインダーと比べると最高約50%も明るくなっている。
また明るさだけではなく、クリアでヌケの良いファインダー像を
得ることに成功しているのである。
これによって、ピント合わせの時間は大幅に短縮され、
マット面の隅部でもピントが合わせやすくなったのも特徴である。

lens008.jpg

アキュートマットには大きく分けて2種類に分類される。
XDからα-Sweetに採用されている「アキュートマット(上)」と
α-9以降のモデルに採用された「スフィリカル・アキュートマット(下)」だ。

画像は両者を比較した電子顕微鏡写真だが、アキュートマットは円錐形状に、
スフィリカルマットは球形状になっていることがわかる。
これによってさらにマット面のざらつき感が改良されている。

通常フォーカシングクリーンは、明るくするため拡散性をよくすると、
眼に入らない光が増えてしまうので、
暗くなってしまいピントが合わせづらくなる。
AF機では(特にエントリーモデル)、MF時のピントの合せ易さより
明るさを優先させる必要上、集光率の高いフォーカシングスクリーンが用いらる。
AF機でも、中級機以上ではフォーカシングスクリーンを交換できるカメラもあり、
ピントのヤマがつかみ易いものに交換できますが、ファインダーが暗くなるので、
F2.8クラスより明るいレンズが必要となる。

アキュートマット・スクリーンはファインダー上のボケ方が、
実際の写真画像に近いという特性があるので、
撮影レンズを通して像を観察するという一眼レフの
最大の特徴を生かすことが出来るわけだ。

面白いことに、アキュートマットの明るさはレンズの開放F値がF5.6よりも
大きくなると、従来のスクリーンよりも明るさが低下するという特性がある
(グラフ参照)。
ところが実際にはピント合わせは、従来のスクリーンよりもやりやすいので、
ファインダーは明るさだけではないということが、よくわかるのである。

lens009.jpg


AFはたしかに便利であるけれども、けして完全ではない。
誤測距や撮影者の意思に関係ないところにピントがいってしまうということも
ないとはいえないのである。

つまりピントの見極め、あるいは被写体のどこの部分にピントを置くか
というのは、撮影者側の判断によるところになるわけでひとつの思想と
言ってもいい部分であるから、決して放棄してはならないのだ。
前述したように明るいだけのファインダーなど、
実はなんの役にも立たないのである。

「季刊クラシックカメラ No.14 ミノルタ ロッコール伝説」


補足説明

ある一部で、EVF vs OVF論争みたいのがあって、OVFはレンズを通した像を
光学的に直接見られるけど、EVFはレンズを通した像を一度電子的に変換した
画像が0.何秒遅れて見るのだから、過去の像を見ているのだと言い合っている。

しかし、一眼レフカメラ(OVF)のフォーカシングスクリーンを通した像は
レンズの光を直接通したものではあるが、被写界深度はレンズのF値とは
必ずしも同じものではない。

通常どのカメラもフォーカシングスクリーンは、大体F4.0程度の被写界深度で
目視出来るように作られています。
これはファインダー内全面の見え具合を均等にするためと思われ、AFが主流の
現在ではファインダー内の被写界深度を浅くして、ピントの山を掴みやすく
するよりも、ファインダー全体の明るさを重視しているためだと考えられます。

つまりOVFは、いくら明るいレンズを付けたとしても、ファインダー内で
見られる被写界深度は、F4.0程度か明るくてもF2.8くらいなので、
目で見ている画と写し出された画とでは、ボケ味が違うのであるから、
レンズを通した像をリアルに見てるわけではないのである。

キヤノンのフォーカシング・スクリーンは確かに明るいけれど、
ただ明るいだけで、MFでのピントのヤマは非常に掴みづらい。
ニコンのAPS-C機のファインダーは、どれも暗く、均一性はあるけど
立体感に乏しく見ていてツマラナイが、D500のファインダーは
とても明るくスッキリしていて、見ていて楽しいと感じた。

明るくて、均一性があり、立体感に優れていて、ピントのヤマが掴みやすい
そんなアキュートマットがもう存在しないのが、非常に残念である。
ニコンなんかは、ソニーからセンサーを配給してもらっているのだから、
フォーカシング・スクリーンもOEM供給してもらえばいいのに。
 
 

Comments

大変勉強になりました 
こちらの記事を読んだ後
手持ちのミノルタ機のファインダーを
片っ端から覗いてみてしまいました
(Xiシリーズは持っておりませんが)
MFはやっぱりXDが抜群にイイなぁ
そして残念ながら大好きなα-8700iだけが
少々暗いことに気が付いてしまいました
なんでだろう
ところでα-507siなどの「ファイン・アキュートマット」の「ファイン」って
なんでしょう
miyaさん 
アキュート「鋭い」
マット「半光沢」
スフィリカル「球形の」
ファイン「良質な」
と、それぞれ意味があるようで、良質なアキュートマットということでしょうか。

 
<- 05 2017 ->
SUN MON TUE WED THU FRI SAT
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
プロフィール

Chamber

Author:Chamber
管理人の”Chamber"(チェンバー)といいます。日記を中心に、最近買った物や今使っているオススメのモノを紹介したり、居候ネコ「もこ」の日常をレポートします。

FC2カウンター
月別アーカイブ
全記事表示リンク

Archive RSS Login